2006.5.16〜5.18

東京物語 NO.3-5　　　　

建物探訪　その4（おまけ）

【吉村順三の住宅】

実はこれ、今回訪ねたのではなく昨年の11月に東京出張した際に偶然出会った作品である。

当時宿をとった阿佐ヶ谷のホテルの部屋で夕食もとうに終えてくつろいでいたが、深夜にふと思い立って阿佐ヶ谷駅周辺を散策してみようとぶらりと外に出た。

ちょうど終電が到着した時刻だったらしく、何人かの勤め帰りの人たちが駅から出てくる。その中の一人の男性に目が留まった。

彼の持っているカバン、服装、たたずまいに自分と同じニオイを感じてつい声をかけてしまった。私の推理は的中で彼は都内の設計事務所に勤務している人だった。同業と言うことですっかり意気投合して近所の居酒屋へ。建築談義に花を咲かせる中で彼が「阿佐ヶ谷に吉村さんの 作品があるよ」
と教えてくれた住宅である。

雑誌などにも取り上げられていない作品だが今も人が住んでいるようだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

コンクリート打放しの外壁はきれいな 紫_________日本の伝統色の葡萄鼠色とでも言おうか_________に着色されている。
一瞬目をムキそうな色だが、玄関ドアの木のナチュラルカラーや植栽の緑とよくマッチしている。

建具の納まり、軒の高さの具合がさすが吉村さん、という感じで、スゴイ掘り出し物をしたような気分だった。

あの時出会った男性、今となってはどこの誰かはわからない。
今日も深夜、阿佐ヶ谷の駅から家路を急ぐのだろうか。

勝手口の門扉（？）兼インターホン、表札。

上手い。
　

何気ない会話、何気ない景色の中にすごいヒントが隠されていて驚かされる。

私にとって東京はそんな街。